チベット青蔵鉄道体験記(3)
by 白川淳敬
 
☆☆☆☆☆☆

いよいよ青蔵鉄道乗車

【ラサから西寧へ】

    我々の旅行は当初、西寧から青蔵鉄道でラサに入る予定だったが、史上まれにみる(?)オーバーブッキングにより、行きのチケットが取れず、帰りに乗ることになった。
 旅行の盛り上がりからしたら行きに乗った方が良いのかも知れないが、高地順応をどう考えるかに寄ると思う。列車でいきなり5000mを超えていくか、気圧調整伸された飛行機でまず3700mのラサに降りるかである。私は後者の方がからだには良いと思う。とはいえ個人差があるので3700mでも順応しきれない方はつらいことになる。
 ポタラ宮を模した真新しいラサ駅はさながら空港のようで、X線のセキュリティーチェックまである。待合室には外国人や中国人民族衣装のチベットの方が混ざり合っている。
 私たちが乗るのはK918列車、11:40ラサ発、西寧着は翌日の11:44。約2000q約24時間の列車の旅が始まる。



【青蔵鉄道の車内】

    青蔵鉄道の車内はインドの夜行列車と比べると各段に綺麗。客室はリクライニングもしない4人がけのボックス座席車、6人1室の寝台車、4人一室の寝台車洗面台の3種類。私たちは4人部屋の一番良いところだった。
   部屋の別はあってもトイレ、洗面台などは一緒で、とても綺麗になっている。
   給湯器もあって車内販売されているカップ麺はこれで作れる。トイレも中国式(和式)と洋式が備わっている。
   客室個室内は鍵のかかるドアがあり、各ベッドには液晶モニター、酸素の出るコック、ダイオードの読書灯がついている。液晶では「コンバット」と「ハリーポッター」をやっていた。その他有り難かったのはACコンセント(220V)がついていたこと。デジタルカメラの充電に重宝した。
   食事は昼食、夕食を食堂車、朝食は車内販売の朝食弁当の計3回。食堂車のメニューは中華料理。沸点の低い高地での調理にしては充分である。また標高4000m以上のところを行くので酒類が進まない。ビールもよく冷えていないのでなおさらである。部屋にかえって焼酎(1升持参された方がいた)のお湯割りで懇談。お湯は給湯器からふんだんに出るので不自由なしである。結局1升無くなった。ので、夕食後の食堂車に行って飲み直し。乗務員の方が食事をしていたり、学生さんがレポートを書いていたり、酔った日本人がいたり(私達)、そこで楽しい交流が出来た。(4000m級の高地でお酒を頂けることはかなり幸せなことらしい。我が健康に感謝した。)




【海抜最高地点】

  列車の車内は飛行機と同じように気圧調整されているので高山病は大丈夫です。という事だったがこれはどうも疑問である。もちろん窓は開かないが、トイレも窓は自由に開き、私がトイレに行ったときも、窓が開いていて、標高4000m級の清々しい空気が車内に入ってきていた。

 したがって、車内の気圧は外と一緒と言うことである。高度順応出来なかった方は厳しい状況に追い込まれる。

 青蔵鉄道の海抜最高地点5072mはチベット自治区と青海省の境、唐古拉(タングラ)山脈を越える峠にある。誰が行くのか荒涼とした大地にぽつんと最高地点の石碑が建てられている。

 海抜最高の駅は「唐古拉(タングラ)駅」で5023m。以前はここで止まってホームに下ろしてくれたそうだが、倒れる人続出したそうで、今はあっと今に通過してしまう。しかし、通過するだけでもさすがに5000mを越えると頭がしびれた。


【中国標準時】



   中国の時計は一つしかない。あんなに東西に広い国なのに時差がないのである。チベットにいても上海にいても時間は同じである。従って今回はだいぶ西の方にいたので、日没は午後9時頃だった。実際は3時間くらい時差があっても良いと思う。

【遊牧地帯から農耕地帯へ】
 列車は数々の冠雪の無名峰に見送られながら延々たる遊牧地帯を進む。しかし、いくら風光明媚なところでも、夜は何にも見えない。ベッドに潜り込んでいる間に昆侖山脈を越え、夜半過ぎにゴルムドに降りてきた。降りてきたと行っても標高はまだ2800mある。
 夜が明けてもさほど風景は変わらず、ヤク牛や羊が放牧されている遊牧地帯を行くうちに中国最大の湖、青海湖が見え隠れするようになる。まことにもって美しい湖である。
 西寧に着いてからあらためて青海湖畔までバスで行ってみたが、湖畔にレジャーランドのような有料施設が複数出来ていて興ざめした。NHKの新シルクロードで映し出された清閑な風景はなかった。
 まったく知らないことだったが、この青海湖を回る「環青海湖国際ロードレース(Tour de QingHai lake)」が今年で6回目になり、このころ開催間近でポスターなどたくさん貼られていた。標高約3200mの高地を9日間1392キロで競うのである。かなり過酷なレースであろう。
 この青海湖の先で、日月峠を越えると、遊牧地帯から農耕地帯に入り、人家も増え畑が多くなる。青海省の首都、下車駅の西寧はもうすぐである。
 列車はほぼ定刻の11時45分ころ西寧に到着した。
 お疲れさまでした。



続く
白川淳敬





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